南の島のクワガタ屋

クワガタ、生き物、冒険

西表島採集記 2018 秋 1日目

小さい頃からずっと憧れていたものがある。

 

ヤエヤママルバネクワガタ

 

八重山丸翅鍬形

 

Neolucanus insulicola insulicola

 

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子供向けの図鑑に載っていたその姿はよく知るクワガタと、そして"カッコいいクワガタ"とは大きく異なっていた。太短い大腮。丸っこく太った体。艶やかで透き通るような溜色。力強く、禍々しく尖った縦角……。

 

ギラファノコギリクワガタやマンディブラリスフタマタクワガタみたいに大きくないし、ハサミも長くない。

 

ニジイロクワガタやオウゴンオニクワガタみたいに派手で綺麗な色もしていない。

 

でもなんだろう、なんなんだ、このクワガタは…!!!

 

その"異形さ"に魅せられ、同時にこのクワガタが自分が住む国に居ることを知った。

 

絶対に、絶対にこのクワガタを、いつか"自分の手で"採ってやろうと思った。

 

そして私は憧れを胸に秘めたまま大学1年生の秋を迎えたのだった。

 

2018.10.24 (1日目)

 

遠征前日なんて眠れるわけが無い。

 

ワクワクと不安で頭がいっぱいで出発前から昂ぶっていた。俺は今日あの憧れの地に、西表島に行くんだ…!!!

 

なんとかリュックに荷物を押し込み7時半ごろ自宅を出発。最高の冒険が幕を開けた!

 

まずは高速バスで那覇空港まで。バス停に着いた瞬間にバスがやってきて乗車した途端に発車した。まだ10分前じゃないの…?危うく初っ端から遠征事故芸人になるとこだった。

 

車内では1/6の夢旅人を聴いていた。

 

那覇空港から石垣空港

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うおおおお石垣島だ!!!

 

この島にも例のクワガタは生息しているが現在では採集禁止になっている。

 

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空港のフードコートで昼食。やいまそば。美味い。

 

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空港からバスで離島ターミナルへ。今回も現地での移動は原付なので荷物はこのリュックと小さなショルダーバッグのみ。

 

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石垣島離島ターミナル。ここから八重山の各島へフェリーが出ている。

 

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出航じゃああああああ!!!

 

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屋内の席もあるのだが迷わず外の端っこの席へ。八重山の陽が眩しい。八重山の潮が美味しい(?)。バンバカ波しぶきが飛んでくる。

 

そして30分後

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うおおおおお着いた!!!着いたぞ西表島!!!!!

俺は今!あの憧れの地の!第一歩を踏み出した!

 

港の近くでレンタルバイクを借り、ひとまずキャンプ場へ。

 

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凄え、これが西表か…

 

一々風景に感動してバイクを停めて写真を撮るのでキャンプ場に着くまでだいぶ時間がかかった。

 

キャンプ場に着いたら速攻で"戦闘服"に着替えて出発!

スーパーで食料と水を買う。

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弁当売り切れてた

 

さあ、いざ山へ!

 

初日は下見の時間も無いので手軽に入れると評判の登山道へ。

 

17時ごろ到着し、暗くなる前に入山!

したものの登山道が分からずしばらくウロウロ。

 

登山道沿いにもなかなかの太さのスダジイが見られるが、乾燥していて残念な木が殆ど…。

 

GPSを片手に、良さげな木をチェックしながら時に道を外れ進んで行く。次第に森は闇に包まれていった…。

 

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オオハナサキガエル  Odorrana supranarina

1枚目のような白っぽい個体が多かったが2枚目のような緑色の個体も見た。

 

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タイワンサソリモドキ   Typopeltis crucifer

めちゃめちゃ居る。とにかくたくさん居る。奄美で見たアマミサソリモドキとの区別がつかない…。厳つい鋏がカッコいいんだけど触ると酢酸を振り撒いてくる。臭い。

 

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オオムカデ   Scolopendra subspinipes

ムカデ屋の先輩曰く、西表島のものはバンド(黒の縞模様)が目立つためタイワンオオムカデ(Scolopendra morsitans)と間違われやすいそうな(茶色い!タイワンかな!程度の認識だった)。

 

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ヤエヤママダラゴキブリ   Rhabdoblatta yayeyamana

日本最大のゴキブリ。翅が硬そうなので"魂分類"で甲虫。カッコいい。

 

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ウルシゴキブリ   Periplaneta japanna

やんばるでは偶に見るな〜くらいの印象だったけど西表にはめちゃめちゃ居た。名前の通り艶やかで光沢のあるゴキブリ。これが遠くから見るとマルバネに見えて鬱陶しいこと鬱陶しいこと。

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頼むから木に登らないで

 

 

そんなこんなで闇を彷徨うこと約3時間半。まあそう簡単に見つかんねえよなーとか思いつつ、次第にメンタルが弱っていく…。

 

登山道から少し逸れた大木をチェックし道に戻ろうとした時、卒塔婆のような細い立ち枯れの頂点に

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よく見慣れた、いや本当は初めて見るのかもしれない。溜色の宝石をこの目で捉えた。不意に呼吸が苦しくなる。急激に鼓動が速くなるのを感じる…!

 

背伸びして必死に手を伸ばし、"自分の手で"それを掴んだ……!!!

 

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うおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!

 

ヤエマルだ!!!ヤエマルだ!!!

 

紛れもねえ!"""俺のマルバネ"""だあああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!

 

今秋、本島でオキマルを複数頭観察してきた。だが彼らは法に守られ、この手に収めることはできなかった。だからこそ"採れる喜び"はひとしおだったのだと思う。

 

やらせになってしまうが手頃な場所にくっ付けて撮影。

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ずっとキミに会いたかった

 

本当にこの島にいるんだね…

 

「自分で見たもの以外信じない」ってわけじゃないけど、「自分の目で確かめる」ことにとてつもない価値があると信じている。

 

ヤエヤママルバネクワガタ 生息地:西表島

 

そんな無機質な情報じゃない!俺はこの目で見た…!

 

                      西表島に、ヤエマルは居る。

 

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53-4㎜の中歯。第二縦角が大歯のように板状に発達した俗に言う激中歯。幸先の良いスタートとなった。

 

しかし俺が憧れ、恋したのは大歯のヤエマル。大歯を採らなければ夢を叶えたことにはならない。

 

 

そしてまさかの10分後に

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♀!!!

スダジイの巨木の根に付いていた
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うーん、まあまあ悪くないサイズ

 

その後は追加も無く、途中から登山が目的になってしまった。標高が高くなるにつれて巨木は姿を消し、ツルアダンの海になっていった。

 

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オオハナサキガエルの卵。よく見ると卵が孵って小さな白いオタマジャクシも混ざっている。

 

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ヤエヤマヤマガニ   Ryukyum yaeyamense

 

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ベンケイガニ   Sesarmops intermedium

 

山を降り、登山口に戻ったのは1時半ごろ。早速"師"と呼べる人物にメールで初採集の報告をした。

 

まだ夜は明けていないが、初採集達成の安堵と満足感、移動の疲れで眠ってしまった。

 

 

 

(2日目に続く)